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小児科医コラム

発達障害について

  発達障害について小児科医から伝えたい情報は、一般的な小児科医は発達障害についてなんとか協力したいと考えているということです。ここにたどり着いた方は小児科ではどのような支援をしてくれるのだろうということを知りたいのではないかと思います。

発達障害の診断が付いていて小児科にかかる場合
  診断がついている子を風邪などを引いて小児科医に連れていく時に、お薬などを飲んでいると、風邪薬などが一緒に内服できるのか心配だと思います。そのような時はお薬手帳を見せてください。また本人の診断名とクリニックに受診した時に支援してほしいことを書いておけば先生に見てみていただくことができます。また診察の時の難しさなどについて伝えておけば対応してくれるでしょう。

一般的に発達障害とは
  「発達障害者支援法」では、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)その他これに類する脳機能の障害であってその症状が、通常低年齢において発現するものとして定義づけられています。原因は、まだはっきりしていませんが、脳機能の働きに生まれつきの特徴があると考えられています。親の育て方や愛情不足、本人の努力不足が原因で起こるものではありません。早期からの継続した支援が大切です。

発達障害について
  発達障害というと、「障害」という言葉の印象からみるからに困っている子、という印象を持たれている方が多いのではないかと思います。しかし実際にははっきりと困っている様子がわかる子は少なくて、診断などの評価を受けて、多くの子が何らかの支援で適切に過ごしていけています。支援を受けると皆と同じように過ごせるため、様々な行事や活動の時に周囲と変わりなく過ごしていることもあると思います。しかしその子達が周囲と同じように過ごせているからといって、支援が必要ないというわけではないことを知っておいてもらいたいと思います。それぞれの子が適切な支援を受けて自分の能力を最大限活かしたり、挑戦したりすることができる環境を作ってあげると素晴らしいと思います。成長や発達はその子その子によってかなり違いがあります。どのような環境を作ってあげるかを適切に評価して周囲の人がその子の特性を理解することが大事だと考えられています。

診断について
  診断は基本的には子供の発達や精神を専門にしている病院でしてもらいます。現在は多くの場合診断を受けるまで何ヶ月も待たないといけないのが現状です。それは多くの機関が病名をつけるだけではなく、発達の全体の状態や偏りなどを詳しくみ調べているため一人一人に時間がかかっているからです。診断は診断基準というものがあり、そういった診断基準を元に診断をされます。また時間をかけて色々と調べたにもかかわらず、すぐには診断が出ないこともあります。疑わしい特性を持って受診したにもかかわらず基準の中に入りません、と言われることもあります。そう言われた場合でも必要ない、ほっとけばいいと考えずに、現時点の具体的な対応について引き続き相談を継続しましょう。また公的な相談機関もあり、そのようなところに相談することも良いと思われます。

診断後の対応について
最近は学校や園で適切な対応をしてくださることが多く、その子の発達の偏りや認知の得意・不得意がわかればそれを元に適切に対応してくださります。適切な対応をしていただくためには「評価」が必要になります。その時のその子の発達の状態像を把握してもらうということです。診断をされても細かい評価までは至らない場合もあります。また時間が経てば評価も変わります。以前できていたのにできなくなる、できていなかったのにできるようになることもあります。評価も成長に伴いアップデートしていかなくてはいけません。何についてどの程度の評価を加えていくのかは、実際にかかっているクリニックや病院、療育や専門の相談しているところにお尋ねください。

支援を受けている子供たちに対して
  小さい頃は特別な支援を受けていても、なぜ受けているかわからないことが多いですが、小学校に入ると徐々に自分が皆と異なる支援を受けていることに気がついてきます。ちょっとした支援でうまくやれる子に対して、心ない悪口やからかい、そしていじめは後を絶ちません。それは子供だけではなく大人の中にもあります。心ないことを言われ、支援を受ければ非常に伸びる子も支援を拒否したり、集団活動自体の参加を拒んだりする場合もあります。普通の子と同じように見えるからこそ悩んでいる子もいます。子供は同じように教育を受ける権利があります。堂々と支援を受けてしっかりと教育を受けて学校生活を送っていき、胸を張って社会に出られるように、大人はこの子たちの成長を見守ってあげていきたいものです。

小児科医の役割
  感染症や予防接種などで身近に相談できる小児科医は子育てをしている中で発達や行動が気になる子についての相談窓口になって話を聞いたり、適切な機関へ紹介してくれたりします。ぜひ気になることがあれば、近くにいる小児科専門医に相談してください。

大野小児科医院 大野繁
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