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小児科医コラム

予防接種

予防接種のこと
  予防接種によって、表1に示すように多くの命が助かっています。しかし、副反応もゼロではないことも承知しておく必要があります。ワクチンの有効性と副反応を天秤にかけると圧倒的にワクチンの有効性の方が高いと考えられます。例えば、麻疹はワクチンのない1950年代には年間約2万人以内の小児が命を落としていましたが、現在ではほとんどなくなり2016年には「日本は麻疹が排除された」とWHOから認定されました。また百日咳もワクチンのない1950年代には年間1〜1.7万人の小さな命が奪われていましたが、現在では5人未満に減少しています。平成28年度の全国交通事故死亡者数は3,904人ですので、どれだけ多かったか想像できると思います。ワクチンで予防できる感染症は、ワクチンで予防することが基本です。
表1

定期接種と任意接種
  我が国では、子どもに接種できるワクチンのすべてが定期接種(定められた期間なら無料)ではありません。残念ながら、まだ任意接種のワクチンが残っています。例えば、ノロウイルスや流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、インフルエンザに対するワクチンです。これらも可能な限り接種をお勧めします。任意接種は文字通り「意に任せる接種(接種しても、しなくてもよい)」ではありません。できるだけ接種してほしいワクチンですが、まだ有料なワクチンなのです。私たちは定期接種化に向かって努力していますが、高額な費用が掛かります。米国では、わが国よりワクチンの5種類も多く定期接種として実施されています。

同時接種
  日本小児科学会は、同時に接種することを推奨し、その理由を表2に示します。日本小児科学会ホームページ(http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_1101182.pdf)に記載されています。2017年現在、1歳までに定期接種のワクチンは13本を接種することになっています。1本ずつの接種では13回も医療機関を受診しないと行けなくなります。
  日本小児科学会推奨のスケジュール図を示します。ここには、各ワクチンに対する日本小児科学会の考え方も記載しています。ご参考にしてください。
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/vaccine_schedule.pdf)   これをもとに、ワクチンスケジュールの1例を表3に示します。これだと5回の受診回数で済みます。うち同時接種は4回です。
表2
表3
表3

接種スケジュールのポイント
  1. 生後2か月から開始
  2. 同時接種を推奨
  3. ロタウイルスワクチン(任意接種)を推奨
  4. MR(麻疹・風疹)ワクチンは1歳になったらできるだけ早く接種
  5. おたふくかぜワクチン(任意接種)の接種を推奨
  6. MR(麻疹・風疹)、水痘、おたふくワクチンは2回接種
接種後の注意
 ワクチン接種後に発熱を認めることがあります。特徴を示しますので、参考にして小児科受診を検討してください。下記の場合は、すぐに受診せず様子を見てもよいでしょう。
  1. ほとんど38℃台
  2. 機嫌や哺乳力もいつもと同じ
  3. 接種当日あるいは翌日で、1日だけ
そのほか、ロタウイルスワクチン接種後、特に1週間以内は「急に機嫌が悪く、あやしても激しく泣き、その後ぐったりする」を繰り返す場合は、腸重積の可能性がありますので、早めに小児科を受診しましょう。

川崎医科大学付属病院 小児科 寺田喜平
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